About iBTA®
私たちは、医療分野で先進的な技術開発に取り組み、世界初の生体内組織形成術(iBTA® : in Body Tissue Architecture)を通じて、これまで治療が難しかった疾患に新たな治療選択肢を提供します。iBTA®は、特殊な組織形成器を用いて患者さんの体内で作られる移植用の細胞や組織による治療法です。移植用の組織や細胞は患者さん自身の体内で作られているため、治療後の拒絶反応や感染、がん化のリスクを大幅に減らすことが可能となります。また、従来の再生医療等製品で必要とされている大掛かりな培養施設も不要です。そのため、多くの疾患領域で安全かつ経済的な細胞・組織治療として期待されています。
iBTA®のメカニズム
生体内に異物が埋入した場合、その周囲に線維芽細胞が集積してコラーゲンを分泌し、異物を覆う被膜化(カプセル化)といわれる生体反応が起こります。iBTA®とは、この現象を利用し、体内に埋め込まれた金型の内部に形成されたコラーゲンを「自家移植用組織体」として用いる治療法です。
従来の再生医療
- 細胞培養が必要なため、高度に清潔な施設や設備が必須
- 超高額保険医療(数百万円~数千万円)
- 感染、拒絶反応やがん化のリスクがある

生体内組織形成術(iBTA®)
- 患者さんの体内を培養器として利用するため施設や設備が不要
- 組織形成機器は手のひらサイズの小型
- 形成される組織は完全に自己組織であり安全で安心
- 埋植中は違和感なく、日常生活を送れる

生体内組織形成術iBTA®を利用したプロダクト
体内に埋め込む金型の形状により、幹細胞組織体「バイオカクテル」、膜状組織体「バイオシート」、管状組織体「バイオチューブ」、弁状組織体「バイオバルブ」など、臓器形状にあわせた組織を得ることができます。「バイオカクテル」「バイオシート」は皮膚や硬膜、「バイオチューブ」は血管、「バイオバルブ」は心臓弁などの欠損修復に用いられます。




バイオカクテル
バイオカクテルについて
バイオカクテルは多能性幹細胞やマクロファージ、成長因子、サイトカインなど創傷治癒に関係する物質を多量に含んでおり、これを創傷部に貼り付けることで皮膚の再生が促され、欠損部の早期再生に高い効果を示します。
治療は創部にバイオカクテルを1度貼るだけで処置は完了し、植皮や皮弁など自己健常組織の犠牲を伴わずに創閉鎖できることが特長です。また、踵など、人工皮膚による治療が適さない部分への移植も可能となっています。
糖尿病性足潰瘍について
糖尿病性足潰瘍とは、糖尿病患者にみられる潰瘍や壊死の足病変で、難治性で再発も多く、糖尿病による血管障害や神経障害が足病変の悪化を助長していると考えられています。国内の糖尿病患者数は、予備軍を含めると約2000万人と言われ、足を切断する患者数は年間約1万人と推計されます。また、足の指の切断を含むと、さらに多くの人が足や足の指を失っていると考えられます。


バイオカクテル組織の生成

バイオカクテル組織の治療メカニズム(糖尿病性足潰瘍)

以下の疾患への適応が検討されています。
バイオチューブ
バイオチューブについて
バイオチューブは、患者自身のコラーゲンでできた管状組織です。血管、リンパ管、胆管、気管などとしての応用を進めています。
重症下肢虚血について
重症下肢虚血とは、動脈硬化性の下肢閉塞性動脈疾患(Lower Extremity Artery Disease: LEAD)の中でも、虚血による安静時痛や下肢潰瘍、壊死が改善せず持続する状態を指します。診断された場合は、速やかに血行再建手術が行われますが、一般的には、カテーテルを用いる血管内治療、または、自家静脈あるいは人工血管を用いるバイパス手術が選択されます。しかしながら、膝下膝窩動脈から下腿動脈に対しての血管内治療の成績は悪く、3ヶ月程度で再狭窄や再閉塞が起こることがあります。また、バイパス手術の場合でも、使用可能な小口径(5 mm以下)の人工血管は存在せず、用いる血管は自家静脈に限られますが、静脈瘤を有する場合、静脈が細い場合、既に他のバイパス手術で使用済みの場合などでは、使用可能な血管が得られず、手術が実施できません。血行再建手術が不可能なケースでは、感染症による死亡を防ぐために下肢の切断に至ることも多く、新たな治療法が求められています。
バイオチューブ組織の生成

バイオチューブ組織の治療メカニズム(重症下肢虚血)

以下の疾患への適応が検討されています。
また、以下の人工組織への適応が検討されています。
バイオバルブ
バイオバルブについて
バイオバルブは、患者自身のコラーゲンでできた弁状の組織です。大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁などとしての応用を進めています。

以下の人工組織への適応が検討されています。
三尖弁/TAVI 肺動脈弁
バイオシート
バイオシートについて
バイオシートは、患者自身のコラーゲンでできた膜状組織です。硬膜、角膜、腹膜、弁膜などとしての応用を進めています。

以下の人工組織への適応が検討されています。
弁膜/各種補填材
開発パイプライン
プロダクト | 対象疾患・組織 | 前臨床試験 | 臨床研究/ 探索的治験 |
検証的治験 | 承認申請 |
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バイオカクテル 組織形成器 |
糖尿病性足潰瘍 | ||||
バイオチューブ 形成器 |
重症下肢虚血 | ||||
小児用肺動脈 | |||||
バイオバルブ 形成器 |
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バイオシート 形成器 |
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詳細はお問い合わせください。
用語解説
用語 | 意味・内容 |
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線維芽細胞 | 組織修復に重要な細胞で、繊維形成と組織構造の維持に関与する。 例えば、傷の治癒過程で活動する。 |
多能性幹細胞 | ほぼ無限に増殖する能力と、個体を構成するあらゆる細胞に分化する能力を併せ持つ細胞のこと。 |
マクロファージ | 免疫系の細胞で、異物や病原体の除去、組織修復、炎症の調節などに関与する。 |
成長因子 | 生体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称。 |
サイトカイン | 主にタンパク質からできており、細胞から生産・分泌される物質。細胞同士の情報を伝達し、免疫細胞を活性化させたり抑制したりする働きを持つ。 |
創傷治癒 | 体の組織や皮膚が傷ついた際に、自然なプロセスで修復される過程。炎症、再生、再建の段階を経て治癒が進行する。 |
創閉鎖 | 傷口を糸や接着剤などで閉じる手術的な処置。感染リスクを低減し、早期の組織修復を促進する。 |
カテーテル治療 | 血管や体内に挿入された細長いチューブ(カテーテル)を用いて、治療や診断を行う医療手法。例えば、血管内での薬物投与や手術の支援に利用される。 |
血管内治療 | カテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し、血管の内側から治療する方法。 |
バイパス手術 | 血管が狭くなったり閉塞したりした場合に、血流が不十分な箇所を新しい血管でバイパス(迂回)する手術。 |